「イラクとアメリカ」 酒井啓子
本書は2002年8月20日刊であり、現況を描くまでには至っていない事を記しておく。そのうえで、強くこの本を推奨したい。なぜ、アメリカとイラクはこうも対決するのか、なぜイラクのフセイン体制は生き残り続けるのか、なぜイギリスはアメリカと共同歩調をとるのか、なぜ仏露中は米英に反対するのか、などという疑問が、するすると解きほどかれていく。それは一種の快感とまで言えるまでに、明瞭に説明されている。一冊の書のみでこの問題をカバーできるとは言わないが、イラク問題を立体的にとらえるうえで必読の書である、と断じたい。少なくとも、この百年のスパンで俯瞰することが肝要だ。
オススメ度★★★★★
- 著者: 酒井 啓子
- タイトル: イラクとアメリカ
「ブラック・ダリア」 ジェイムズ・エルロイ
アメリカ暗黒小説界の魔犬を自認する鬼才が、1947年のアメリカに起きた猟奇殺人事件を題材に放つ、「L.A四部作」の嚆矢。事件の渦に引き付けられた登場人物たちは、呪縛のようなそれが引き金となって、それぞれの運命に向かって突き進んでいく。終焉に近づくにつれ、読者はその迫力と狂躁に圧倒される筈だ。破滅を胚胎する物語を書かせたら、エルロイはおそらく当代でもぬきんでた存在であろう。
オススメ度★★★☆☆
- 著者: ジェイムズ エルロイ, 吉野 美恵子, ジェイムズ・エルロイ, 吉野 美恵子
- タイトル: ブラック・ダリア
オンライン書店bk1「通常書評」採用分(難易度C)
オンライン書店bk1「ジャンル担当者のおすすめ書評」掲載分(難易度B)
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「チベット旅行記 抄」河口慧海 / チベット潜入! 明治精神の体現者
「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦 竹中平蔵 / 血の通った経済学議論
「ブッシュの戦争」ボブ・ウッドワード / アフガン戦争はどうデザインされたのか
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