「イラクとアメリカ」 酒井啓子 | 辻斬り書評 

「イラクとアメリカ」 酒井啓子

本書は2002年8月20日刊であり、現況を描くまでには至っていない事を記しておく。そのうえで、強くこの本を推奨したい。なぜ、アメリカとイラクはこうも対決するのか、なぜイラクのフセイン体制は生き残り続けるのか、なぜイギリスはアメリカと共同歩調をとるのか、なぜ仏露中は米英に反対するのか、などという疑問が、するすると解きほどかれていく。それは一種の快感とまで言えるまでに、明瞭に説明されている。一冊の書のみでこの問題をカバーできるとは言わないが、イラク問題を立体的にとらえるうえで必読の書である、と断じたい。少なくとも、この百年のスパンで俯瞰することが肝要だ。

オススメ度★★★★★

著者: 酒井 啓子
タイトル: イラクとアメリカ