「黒く塗れ!」マーク・ティムリン / ノワールとはなんぞや | 辻斬り書評 

「黒く塗れ!」マーク・ティムリン / ノワールとはなんぞや



E(エクスタシー)――誰をもとろけさせる悪魔のドラッグ。娘の友人がそれで命を落とした。許せない!俺はヤクで甘い汁を吸う奴らを制裁することを誓った。最強のマシンガンとダイナマイトを携えて、本命の麻薬元締めを追う元刑事の私立探偵ニック。いったい何人殺せば、終わりは来るのか?爽快、痛快のブリティッシュ・ノワール!(背表紙より)

あのねー。
なんでもかんでもノワールって言えばいいんじゃないんだぜ!
ノワールってのはさー、暗い情念や漠たる不安感とか、社会の不条理なんかを裡に秘めた犯罪(系)小説のことでしょ?
暗黒小説とも称されるくらいだから、自然と文学のかほりがしたりするんだよ。
ま、この定義には主観が含まれてるにしても、ホント売り文句ってアテにならないよな!!!!!!!!(怒)


とりあえず、この小説はクズです。
無頼な主人公が無軌道にドンパチして悪党を殺しまくるのが筋なんだけど、ご都合主義と単調な筆運びに染め上げられていてツマラナイこと甚だしい。
武器が欲しければ武器商人が登場するし、車が欲しければ中古車ディーラーが出てくるし、情報が欲しければ情報屋が出てくるし、しかもそれがすべて主人公の昔馴染みときたもんだ。
その都度その都度、適材適所の人間が実にインスタントに登場しては主人公に欲しいものを与え、鮮やかに作者に孝行するんだから笑ってしまうよな。
お前は「えの素」か、と(笑)。
ギャグならギャグと初めから言っておいてほしいもんだよ、まったく。

てなわけで、この本は決して読んではいけません。

特にブリティッシュ・ノワールと聞いて「トレイン・スポッティング」を思い浮かべた人なんかね。

本国ではテレビドラマ化もされた人気シリーズなんだそうで、とすると訳が悪いのかなー?



マーク・ティムリン, 北沢 あかね

黒く塗れ!



オススメ度★



榎本 俊二
えの素 1 (1)
榎本 俊二
えの素 2 (2)
榎本 俊二
えの素 3 (3)